Item 65: ミリケシ: 特許を探してみた
それでは、今年の最後の調査を進めていきますね。
まずは、J-PlatPatで、コクヨの消しゴム関連の出願を検索していきます。出願人=コクヨ、発明の名称=消 で特許・実用新案を検索したところ、ヒット件数は6件。発明の名称が”消しゴム”という特許出願が2件見つかりましたが、いずれも「ミリケシ」関連ではなさそうですね。
同様に、出願人=コクヨ、意匠に係る物品=消 で検索したところ、ヒット件数は7件。あ、そのうち、2件の図面が「ミリケシ」に酷似していますよ。
ここで、新しく、特許情報固定アドレスサービス対応(試行版)(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/NEWS/20161226_01.pdf)が始まったようですので、意匠出願の固定アドレスも貼っておきますね。
意匠登録第1390970号(出願日:2009.9.15)消しゴム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/DE/JPS_1390970/DB7075618799BBA1A68E65464AA54111
意匠登録第1401516号(出願日:2009.12.1)消しゴム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/DE/JPS_1401516/911AD181568339ED6A58B575DFB8A160
いずれも馬場雄二氏が創作者の様ですね。
馬場雄二の特許出願も気になりましたので、発明者=馬場雄二 で特許・実用新案を検索したところ、ヒット件数は13件。その中で、消しゴムに関するものが2件ありました。
特開2010-47001(出願日:2008.8.21)消去幅選択可能な消しゴム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/PU/JPA_H22047001/0DE0628B51766DCED21BFF3BA227759C
請求項はこちらです。
【請求項1】
字消し部の幅になる頂陵部を、本体の外周に多数設け、必要とする消し幅の頂陵部を、適時選択し使用できることを特徴とする消しゴム。
図面の固定リンクがなく、ご紹介できないのが残念なのですが、「ミリケシ」とは少し形状が違うものの、消し幅を適時選択できるというコンセプトは開示されています。
さらに、もう1件類似の出願をしています。
特開2010-52411(出願日:2008.8.29)消去幅選択可能な多角柱消しゴム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/PU/JPA_H22052411/0DE0628B51766DCE9079080A893F553B
請求項はこちら。
【請求項1】
字消し部の幅になる頂陵部を本体の外周に多数設け、必要とする消し幅の頂陵部を適時選択し使用できることを特徴とし、多辺形の平面図の型から抽出した多角柱を輪切りにして完成形が得られる経済性を特徴とする消しゴム。
実は、本出願の図8として紹介されている消しゴムの外観が、放射上に複数の突起が形成されており、「ミリケシ」に酷似しています。ただ、本出願の突起は6つですが、「ミリケシ」の突起は5つですね。
前記事で紹介したプレスリリースによると、コクヨさんが行った2009年のWEB調査によって「消す幅に合わせて消しゴムを使い分けたい」というニーズが多いことが分かったとのこと。
妄想するに、、、
そんなニーズを知るコクヨさんと、そのニーズを解決する手段を持つ馬場氏が出会い、コラボレーションを進めていく中で、特開2010-52411の突起6つタイプがブラッシュアップされていって、結果、突起5つタイプの「ミリケシ」が生まれたのではないでしょうか。
このあたりで調査を終了します。
みなさま、よいお年をお迎えください。
Item 65: ミリケシ(コクヨ)
小学生の息子曰く、最近、クラスではオモシロ文具が流行っているとのこと。「ネオクリッツ」、「SMART FIT ACTACT スタンドペンケース」、「ペンサム」など、大人でも文房具通でないと持っていないようなアイテムが教室には並んでいるようなのです。驚きですよね。
そんな中、息子がチョイスした消しゴムがこちらの「ミリケシ」。
我が息子ながら、なかなかのよいセンスをしている笑。という訳で、今回は、「ミリケシ」を掘り下げていこうと思っています。
2010/04/28にプレスリリースにて発表され、2010/5/13に発売されたようです。
5つの消し幅をもつ「消しゴム<ミリケシ>」を発売|プレスリリース|コクヨ
プレスリリースによると、コクヨさんが消しゴムユーザーに対して行った調査(2009年WEB調査)の結果得られた、「ノートの上の行や下の行を消すことなく、狙った1行だけを消したい」、「消す幅に合わせて消しゴムを使い分けたい」というニーズを受け、5種類の幅(6mm、5mm、4mm、3mm、カド)の放射状に並んだ突起で、ノートの罫線の幅に合わせて一行だけを狙って消すことができる「ミリケシ」の発売に至ったようです。
また、ヴィジュアルデザイナー馬場雄二氏によるデザインを採用したとのこと。
「ミリケシ」の公式ホームページはこちら▼
なんと、2010年度のグッドデザイン賞も受賞されていますね。
こちらが馬場さんの公式ホームページ。文房具のデザイナーというより、漢字パズル等の玩具の開発がご専門の様ですね。
・2010/4/28にプレスリリースにて発表
・馬場雄二氏考案
・消す幅に合わせて使い分けられる
等の情報を頼りに、調査を進めていこうと思っています。
Item 64: NOLTY U 365: 特許を探してみた
早速、「NOLTY U 365」の公式ホームページに掲載されている特許第5945028号、意匠第1537429号をJ-PlatPatで検索していきます。
特許第5945028号(出願日:2015.4.27) 手帳
登録となった請求項と、「NOLTY U 365」のニュースリリースで紹介されている特長との対応関係を確認していきます。
http://www.jmam.co.jp/assets/images/topics/Picture0003.png
【請求項1】
自分の予定・家族の予定・関心事項の進捗状況の確認予定・などの複数のテーマごとに時間が重なる複数の予定などを記入可能にした手帳であって、
見開いた左右の各ページをそれぞれ連続する1日分の記入用として前記各ページに付された連続する月日および曜日と、
⇒ニュースリリースの画像例の、3.31 木、4.1 金にあたります。
左右の各ページに設けられ前記テーマごとに分けて一日分の予定を書き込み可能とした複数本の時間目盛り付き罫線と、
⇒この「複数本の時間目盛り付き罫線」が「スケジュールライン」ですかね。
これら罫線の下方に連続して設けられたメモ欄と、
⇒「メモ欄」が、「グリッドノート」でしょうか。
前記左右の各ページの下縁に沿って前記左右の各ページに渡って左から右に順次付された1週間分の曜日の表示のうち開いた前記左右の各ページに該当する連続する2つの曜日を識別可能とする表示と、
⇒この表示は、「ウィークバー」と思われますね。
を有することを特徴とする手帳。
3つの特長を的確に表現した秀逸な請求項で権利化されていますね。
続いて、意匠も確認しました。
意匠第1537429号(出願日:2015.4.28) 手帳用紙
【意匠に係る物品の説明】も引用しておきます。
本物品は、横方向中央部で綴じることにより手帳として使用する用紙であり、折りたたみ可能な見開き表面左右2頁、同裏面左右2頁の計4頁の記入面を有するシートからなり、手帳を開いた時に、二日分の日記欄を有する。使用状態を示す参考表面図に示すように、左頁左上部と右頁左上部には日付として月日(数字)と曜日(漢字と英語省略表記)が表示される。右頁右上隅には右頁当該月の月カレンダーが印刷される。各頁の日付欄の下には30分ごとの時系列を示す点線が印刷され、この点線中、3時間ごとの9時、12時(これのみ赤色に着色)、15時、18時、21時には当該時を示す数字が印刷され、またこれらの数字に挟まれた各時(10時、11時、13時、14時、16時、17時、19時、20時)と21時以降の各時(22時、23時、24時)の点は大きく印刷されている。この時系列点線の下には点間隔を狭めた4本の点線が印刷され、上側の時系列点線の各時刻に対応する点は若干大きく印刷されている。これにより、4本の点線には時系列に沿ったスケジュール、予定を記入することができる。4本の点線の下部は細点によりマス目が印刷された方眼が印刷され、自由記入欄となっている。左頁の最下段には曜日の英語略号M(Monday)、T(Tuesday)、W(Wednesday)、T(Thursday)が印刷され、右頁の最下段には曜日の英語略号F(Friday)、S(Saturday)、S(Sunday)が印刷され、左右頁を通して1週間分の曜日が表示される。そして、左右頁の当該曜日に該当する英語略号欄はグレーの濃淡で着色されている。右頁右縁には、当該月を表示する数字が印刷されている。
そして、驚きなのは、発明者、創作者ともに、NOLTYの生みの親である、NOLTY企画部長の二宮昌愛さん。部長自ら発明とは驚きです。こちら▼の記事でも二宮さんの手帳愛を感じますね。
二宮部長の拘りによって生まれた3つの特長については、特許、意匠により強力に保護されており、今後も、NOLTY独自の1頁1日タイプの手帳として、輝きを放っていくのではないでしょうか。
今回の調査はこのあたりで終了いたします。
Item 64: NOLTY U 365(日本能率協会マネジメントセンター)
目黒で文ぶら(文房具屋さんをぶらぶら)していたところ、「NOLTY U 365」のCM動画が目につきました。なんと、特許取得とのこと。気になりますね。
「NOLTY U 365」は、上にスケジュール、下にメモと用途を分けて書ける、1頁1日タイプの手帳より、メモと予定の使い分けがしやすくなりました。
まずは、ニュースリリースで発売日を確認していきます。
2015/09/08のニュースリリースにて発表され、順次発売していったようです。
さらに、2015年度グッドデザイン賞も受賞されていますね。
プロデューサー
株式会社日本能率協会マネジメントセンター NPB事業本部 副本部長 細野肇/NOLTY企画部長 二宮昌愛
ディレクター
株式会社日本能率協会マネジメントセンター NPB事業本部 NOLTY企画部 川村由美、青木麻衣也+株式会社博報堂 竹本慎也、中村覚+株式会社クルーズ 山口竜太
デザイナー
株式会社クルーズ 山口竜太、小倉知史
そして、こちらが「NOLTY U 365」の公式ホームページ。
公式ホームページにて、グッドデザイン賞、特許登録、意匠登録の3冠達成を公言されていますね。すばらしい。
ニュースリリースの画像を引用し、公式ホームページで紹介する3つの特長を要約して紹介しておきます。
http://www.jmam.co.jp/assets/images/topics/Picture0003.png
1: 「スケジュールライン」
時間目盛りと連動した目盛り付き罫線が「スケジュールライン」、予定が重ならずに、見やすく、キレイに書くことができます。
2: 「グリッドノート」
「スケジュールライン」の下には約3mmの「グリッドノート」を配置。罫ノートとしても方眼ノートとしても使うことができ、スケジュールも大切なできごともたっぷり書くことができます。
3: 「ウィークバー」
1週間の中での位置がわかりにくい1頁1日タイプの問題を解決する「ウィークバー」。
ページ下部に曜日の頭文字が表記され、1週間の中での位置を把握することが出来ます。
・2015年9月発売
・グッドデザイン賞関係者
・3つの特長:「スケジュールライン」「グリッドノート」「ウィークバー」
・さらに、公式ホームページで公表している特許登録番号と意匠登録番号
を頼りに、調査を進めていきたいと思います。
乞うご期待♪