Item 4: SYSTEMIC: 特許を探してみた
それでは、
・ノートを一括管理できる2冊収容タイプ
・リングノートにも対応した3つ折りタイプ
あたりを手掛かりにSYSTEMIC関連の特許出願をJ-PlatPatで検索していきます。
発明の名称=ノートカバー
出願人=コクヨ
で検索したところ、検索結果は1件↓
特開2011-201071(出願日:2010/3/24)
こ、これは、2010/11/01に発売したカバーノート<SYSTEMIC>(2冊収容・リングノートタイプ)そのものでした。
いきなり2番目のポイントの関連案件が見つかってしまいました。
1番目のポイントである、2冊収容タイプがないか、念のため確認しておきましょう。
ノートカバーというキーワード検索のみだと、2冊収容タイプのノートカバーに関する出願が検索から漏れている可能性があります。そこで、今回は、国際特許分類(IPC)を活用することにします。
上記の特開2011-201071に付与されているIPCは、B42D 3/18
この特許分類の意味を確認しておきましょう。こちら↓のサイトにIPC分類表があります。
本の表紙の小分類にあたる、「3/18 他の付属装置」という位置づけのようですね。
では早速、J-PlatPatで、IPC=B42D3/18、出願人=コクヨ
で検索してみました。検索結果は10件。
ざっと確認してみましたが、1冊収容のカバーはありましたが、2冊収容のカバーの基本出願にあたるようなものは見つけることができませんでした。
参考までに、カバーノート<SYSTEMIC>(2冊収容・リングノートタイプ)の開発に伴って出願したと思われる特開2011-201071の明細書中で開示されている先行技術文献は、特許文献ではなく、カタログを引用しています。↓
【非特許文献1】“カバーノート<SYSTEMIC>”,コクヨ総合カタログ2010年版ステーショナリー編,コクヨ株式会社,平成21年12月,p.740
やはり、2冊収容のカバーを権利範囲とする基本出願は存在しないのかもしれませんね。
では、この特開2011-201071の権利化状況についてみていくことにしましょう。
特開2011-201071のページの右上にある「審査書類情報」を選択すると、審査書類を閲覧することができます。本件は、2014/06/03 に拒絶査定になっていますね。
拒絶になってしまった権利範囲はこちら↓
【請求項1】
複数の表紙を連設させてなるノートカバーであって、
少なくとも一方の側端に位置する表紙に、ノートの表紙を保持するためのノート保持用ポケットを備え、
このノート保持用ポケットが、外側方に開放させてなるものであり、
両端部が前記表紙に止着され前記複数の表紙を重ね合わせるように折り畳んだ状態で綴じることができる長さ寸法を有した伸縮可能なゴムバンドを備えたものであることを特徴とするノートカバー。
ポイントは、
・外側方に開放可能なノート保持用ポケット(リングノートを収容できるポケット)
・ゴムバンド
の2つ。
しかしながら、ノート保持用ポケットについてはこちら↓
実開平6-042209号公報(凸版印刷株式会社・山本化成株式会社)
ゴムバンドについてはこちら↓
実用新案全文昭62-022865号(セーラー万年筆株式会社)
を引用され、組合せにて進歩性なしということで権利化できなかったようですね。
ちなみに、引用文献の実開平6-042209号公報は3つ折りタイプのノートカバーの基本出願として権利化されているのでしょうか? 確認したところ、無事登録されているようです。実用新案登録番号第2540988号。権利範囲はこちら↓
【請求項1】2つ折り自在のパスポートカバー本体の側端部に、パスポートの表紙を挿入保持する袋状収納部の一端を取り付け、該袋状収納部の開口部がパスポートカバー本体の内側となるように前記袋状収納部を配置したことを特徴とするパスポートカバー。
うーん。3つ折りタイプのカバーの構成にはなっていますが、パスポートの限定が入っていますね。
以上、本日の調査結果をまとめますと、
・ノートを一括管理できる2冊収容タイプについては、基本出願を特定することができませんでした。
・リングノートにも対応した3つ折りタイプについては、コクヨさんの出願は権利化されておらず、その引用文献である凸版印刷さんの出願についてもパスポート用という限定があるカタチで権利化されているので、3つ折りタイプの基本出願にあたる案件は特定することができませんでした。
以上を踏まえて、開発ストーリーを妄想してみようと思います。今のところ、何も思いつかないのですが・・。