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文房具特許の世界

文房具が好きで、特許を手掛かりにその背景を妄想することによって文房具をもっともっと好きになるために、ブログはじめました。といっても、文房具特許についてはド素人で、皆さんと一緒に少しずつ学んでいければと思っています。文房具カフェ会員No.01845 連絡先:bunseka.akiran@マークgmail.com

Item 8: キラリッチ: 特許を探してみた

開発者 栁澤奈津さんの熱い思いによって生まれたキラリッチ。いつものように、J-PlatPatで検索していくことにします。

 

出願人=ゼブラ、発明者=栁澤 and 奈津 で検索してみたところ、”入力に誤りがあります。ヘルプを参照してください。”と表示されるだけで、検索してくれません。ヘルプを確認したところ、”当システムの文字コード表(JIS漢字コード第一水準・第二水準)に含まれない特殊な漢字については入力できないため、エラーになります”とのこと。そこで、"栁澤"という少し特殊な漢字が入った姓は除き、出願人=ゼブラ、発明者=奈津 で検索したところ、1件検索されました! 

特開2016-069564(出願日: 2014年09月30日)マーキングペン用水性インキ組成物及び直液式マーキングペン

キラリッチの発売日は2015年5月18日ですので、キラリッチ関連の可能性がありますね。ここで、特許公開公報にある名前の表記が「▲柳▼澤 奈津」となっていたのが気になったので、謎の「▲▼」について少し調べてみました。

電子出願ソフトサポートサイトの中に文字の制限について、以下のような記述がありました。

文字の制限

「JIS-X0208-1997で定められている文字以外の文字を用いようとするときは、JIS-X0208-1997で定められている漢字に置き換えて記録するか、又はその読みを平仮名で記録し、その前に「▲」、後ろに「▼」を付します。」

すなわち、常用漢字でない場合に、常用漢字に置き換えて▲▼で前後を挟む、ということだと思います。では、このような非常用漢字の名前の場合、J-PlatPatでどのように検索すればよいのか。今回の場合、 栁という感じが非常用漢字であることは予想できると思いますので、同じ読みである柳という感じを▲▼で前後を挟む、"▲柳▼澤"という漢字で出願していると予想できると思います。試しに、発明者=▲柳▼澤 and 奈津 で、検索をかけてみたところ、上記の出願が検索できることを確認しました。

 

少し横道にそれてしまいましたが、特開2016-069564の出願時の請求項を確認しておくことにしましょう。ちなみに、本件は2014年に出願したばかりでまだ審査請求もかけられていない段階のようです。

【請求項1】
水と、無機顔料と、発酵セルロースと、発酵セルロースを除く高分子物質とを含み、E型粘度計を用いて25℃、0.8°×R24ローター、6rpmの条件で測定される粘度が15~50mPa・sである、マーキングペン用水性インキ組成物。

うーん。化学専攻でないだけに、さっぱりわかりません。

課題を見ると、

筆記線に光輝性又は隠蔽性を付すために、光輝性顔料又は隠蔽性顔料として無機顔料をインキ組成物に含有させると、無機顔料の比重が高いために、経時的にインキ組成物中で無機顔料の沈降が発生するという問題がある。インキ組成物中で無機顔料が沈降すると、筆記時に無機顔料が十分に排出されなかったり、逆に高濃度の無機顔料が排出されたりするなど、インキ組成物全体が均一に排出されずに筆記線に色ムラ又は濃度ムラが生じ、所望の光輝性又は隠蔽性を安定的に得ることができない。一方、インキ組成物の粘度を高めることによって無機顔料の沈降を抑制しようとすると、ペン先からのインキ組成物自体の排出性が悪化し、筆記不良となる。

簡単に言うと、

・ラメ(無機顔料)を入れると沈殿し、色ムラができる

・沈殿を抑えようとすると、インキの排出性が悪くなる

という課題を解決した発明とのこと。

栁澤さん、宇賀神さんの試行錯誤によって見つけた、インキの沈殿が抑えられ、排出性がよい、所定の特性を持つ水性インキ組成物を権利の範囲として主張しています。請求項の数値限定の部分の意味合いはさっぱりわかりませんが、あの、ファンシーでかわいいキラリッチに、こんな数値で厳密に定義されているインキ組成物が利用されているとは。何だか驚きです。

今回の調査を通じて、文房具の奥の深さを感じることができたように思います。

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