Item 21: ハリナックスプレス(コクヨ)
inspiさんの記事で、ハリナックスプレスという大物を見つけましたので、取り上げたいと思います。
これまた勉強不足で、ハリナックスは知っていたのですが、ハリナックスプレスなるものを知りませんでした。お恥ずかしい限り(^^ゞ
こちらが2014年10月7日に発行されたコクヨさんのプレスリリースです。発売日は2014年10月22日。
2009年12月に発売されたハリナックスは、ご存じのように、金属針を使わずに紙自体でとじることができるステープラーですが、紙にとじ穴が開いてしまうという課題がありました。2014年10月に満を持して発売されたハリナックスプレスは、金属歯で紙を非常に強い力で圧着することで、なんと、穴を開けずにコピー用紙5枚程度をしっかりときれいにとじることができるのです! 画期的!
話題の商品だけに、多数の開発秘話や分析レポートに関するページを見つけましたが、厳選して紹介します。まずは、針なしステープラーの歩みが一目でわかるコクヨさんのページ。開発担当の長谷川 草さんの解説で、ブレークスルーのポイントが端的に語られています。
ハリナックスプレス|特集:学ぶ人 働く人のために ―価値を磨き上げる―|CSR・環境|コクヨ
次に紹介するのはinspiさんの長谷川さんインタビュー記事です。長谷川さんの生の声で語られる言葉に、開発時のご苦労と、それを乗り越える情熱を感じることができる良記事です。
最後は、文具王こと高畑さんのこちらの分析記事。
独自の視点で細かく分析されていて、
・凸凹のある歯で紙を上下から押すことで、ちょうどブロック玩具のように小さな凸凹で紙どうしをはめあわせて固定している
ことを凸凹部分のズーム写真入りでわかりやすく解説されており、さらに、
・ハリナックスプレスに使われているテコ比はなんと30倍以上で、握力が強い人の場合先端部分が受ける力が軽く1トンを超えてしまうので、テコの中間部分に強すぎる力を逃がすしくみがあって、5kg程度でストップするようになっている
ことを図解されています。秀逸の一言です。
ご紹介した記事を参考に、そろそろ調査のポイントになりそうなところをまとめておきたいと思います。
1: 握る力を30倍以上にする構造
ハリナックスプレスが採用する方式は、金属歯で紙を非常に強い力で圧着することで紙を綴じるものなので、それを実現するためのテコ構造が匂いますね。高畑さんが紹介する力を逃がす機構もポイントかもしれません。
2: 高い保持力をもつ綴じ部を形成する綴じ歯構造
小さな綴じ部で高い保持力を発揮する、最適な綴じ部の形状やサイズを見つけるため、50パターン・200個以上の綴じ歯の試作を繰り返したとのこと。この最適な綴じ部の形状やサイズは権利化の価値がありそうです。
3: テコ構造と綴じ歯構造からなる全体構造
本体のテコ構造と、綴じ歯がそれぞれ完成に近づいていたにも関わらず、組み合わせるとうまく綴じることができず、パーツの寸法や位置を0.1mm単位で調整していって、ようやく完成に至ったとのこと。最適な全体構成にも発明の匂いがしますね。
プレスリリースの発行日である2014年10月7日、開発担当の長谷川草さん、上述の3つのポイント等を頼りに、調査を進めていこうと思っています。