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文房具特許の世界

文房具が好きで、特許を手掛かりにその背景を妄想することによって文房具をもっともっと好きになるために、ブログはじめました。といっても、文房具特許についてはド素人で、皆さんと一緒に少しずつ学んでいければと思っています。文房具カフェ会員No.01845 連絡先:bunseka.akiran@マークgmail.com

Item 26: MONO AIR: 特許を探してみた

Patent

それでは、MONO AIRの「エアータッチシステム」について、調査を進めていきたいと思います。こちらに開発経緯が掲載されています。この記事の中で、岸野保彦生産開発本部長は「開発に着手したのは、2年半前。当時は修正テープ用の使いやすいテープを作りたいと新コンセプトで臨んでいた」と振り返っています。発売前の消費者調査でも非常に好評で、大規模な各種プロモーションも予定していると、販売促進部長も自信を示していますね。特許出願中という記載もありますね。

www.nichima.co.jp

 

いつものようにJ-PlatPatで特許・実用新案から検索をはじめたいところですが、「修正テープ」というキーワードが特許用語か否かわかりませんので、意匠全検索という裏ワザ(笑)から入りたいと思います。出願人=トンボ鉛筆 で検索したところ、ヒット件数は123件。ありましたありました! 冒頭2件は、MONO AIRのシルエットのようです。

 

意匠登録第1550582号(出願日:2015.11.6)事務用塗膜転写具

意匠登録第1550754号(出願日:2015.11.6)事務用塗膜転写具

 

修正テープは「塗膜転写具」と表現するんですね。出願人=トンボ鉛筆、発明の名称=塗膜転写具 で特許・実用新案を検索したところ、ヒット件数は92件。上から見ていくと、1件目がMONO AIR関連のようです。

 

特開2016-124131(出願日:2014.12.26)塗膜転写具

 

出願時の権利範囲はこちら↓

【請求項1】
筐体内に転写テープを巻装した供給リールと、前記供給リールから引出された転写テープを被転写面に転写する転写ヘッドと、転写後の転写テープを巻取る巻取リールと、供給リールと巻取リールを連動させる動力伝達機構とを少なくとも備える塗膜転写具において、
前端に転写ヘッドが一体的に取付けられ、後半部に供給リールの回転を直接に制止し得る回転制止部を有するベース部材を、前記転写ヘッドと回転制止部間において、筐体の所定位置に設けられたベース部材用支軸に回動可能に支持するとともに、前記ベース部材と前記筐体間に弾性復帰機構を介在させることにより、被転写面への転写ヘッドの押圧時には、ベース部材が回動することで供給リールの回転制止が解除され転写ヘッドの押圧解除時には前記弾性復帰機構により、ベース部材が元の位置に復帰して供給リールの回転が制止されるようにしたことを特徴とする塗膜転写具。

 

お~、これはまさに、「エアータッチシステム」の構成ですね。

 

①テープを利用するときだけテープを供給する供給リールが回転される構成に対応する部分は、「被転写面への転写ヘッドの押圧時には、ベース部材が回動することで供給リールの回転制止が解除され」に対応し、

②テープを利用しないときには供給リールが回転されないような構成に対応する部分は、「転写ヘッドの押圧解除時には前記弾性復帰機構により、ベース部材が元の位置に復帰して供給リールの回転が制止される」に対応するようです。

 

次に、請求項5も見ていきましょう。

【請求項5】
ベース部材の前端に一体的に設けられた転写ヘッドの前端から、前記ベース部材が支持されるベース部材用支軸までの距離よりも、前記ベース部材用支軸からベース部材の後半部に設けられた回転制止部までの距離が長くなるようにした請求項1~4のいずれかに記載の塗膜転写具。

 

請求項5を少し咀嚼します。ベース部材の一端側に転写ヘッド、他端側に回転制止部が設けられていて、その間に配されるベース部材用支持を中心に、シーソーのように転写ヘッドと回転制止部が回動されます。そして、転写ヘッドからベース部材用支軸の距離より、ベース部材用支軸から回転制止部の距離を長くすることで、転写ヘッドがわずかに上方に回動するだけで、回転制止部が下方により大きく回動し、供給リールの回転制止が解除される訳です。

 

この機構の構成は、上述の記事の中で出てくる、「紙面に修正ヘッドがあたるわずかな力(100gから駆動)を応用して供給リールのロックを解除する」構成に対応しますね。

   

 

修正テープ業界で課題とされていた「最初は軽く、後半に重くなる」という常識を、目から鱗のシンプルで美しい機構で見事に解決。常識を覆すという意味では、ダイソンの羽根のない扇風機に匹敵するイノベーションではないかと思っています。

 

いや~久々に感動を覚えるシンプルで美しい機構に出会えて大満足♪ このあたりで、今回の調査を完了したいと思います。

 

 

 

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