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文房具特許の世界

文房具が好きで、特許を手掛かりにその背景を妄想することによって文房具をもっともっと好きになるために、ブログはじめました。といっても、文房具特許についてはド素人で、皆さんと一緒に少しずつ学んでいければと思っています。文房具カフェ会員No.01845 連絡先:bunseka.akiran@マークgmail.com

Item 35: クルトガ: 特許を探してみた

では早速、J-PlatPatを使って検索していきましょう。出願人=三菱鉛筆、発明者=中山 and 協 で特許・実用新案の検索を行ったところ、ヒット件数は、91件。プレスリリースの発行日2008年03月18日以前に出願されている案件を見ていくと、「クルトガ」らしきシルエットを3件見つけましたよ。それぞれの請求項を引用しておきます。

 

特許第5139031号(出願日:2007.10.26)シャープペンシル

【請求項1】
軸筒内に配設されたチャックの前後動により筆記芯の解除と把持を行うことで、前記筆記芯を前方に繰り出すことができるように構成されたシャープペンシルであって、
前記チャックが前記筆記芯を把持した状態で軸芯を中心にして回転可能となるように前記軸筒内に保持されると共に、前記筆記芯が受ける筆記圧による後退動作および筆記圧の解除による前進動作により、往復方向に回転駆動を受ける往復回転部材と、前記往復回転部材の回転駆動力を受けて回転子を一方向に回転駆動させる回転駆動機構が具備され、前記回転子の回転運動を前記チャックを介して前記筆記芯に伝達するように構成したことを特徴とするシャープペンシル。 

 

筆記圧による後退動作、前進動作を、回転駆動力に変換し、筆記芯に伝達するもの。まさに、自動芯回転機構「クルトガエンジン」の特徴と一致しますね。本件が「クルトガ」の基本出願のようです。

 

特許第4995710号(出願日:2007.12.28)シャープペンシル

 【請求項1】
軸筒内に配設されたチャックの前後動により筆記芯の解除と把持を行うことで、前記筆記芯を前方に繰り出すことができるように構成され、前記チャックが前記筆記芯を把持した状態で軸芯を中心にして回転可能となるように前記軸筒内に保持されると共に、前記筆記芯の筆記圧による前記チャックを介した回転子の後退および前進動作により当該回転子を回転駆動させる回転駆動機構が具備され、前記回転子の回転運動を前記チャックを介して前記筆記芯に伝達するように構成したシャープペンシルであって、
前記回転子もしくは当該回転子の回転に連動して回転駆動される前記軸筒内に収容された構成要素の回転移動面と、前記回転移動面に対峙して配置された固定部材との間に粘着性媒体が介在され、前記粘着性媒体により前記回転子の回転方向に粘性抵抗が付与されていることを特徴とするシャープペンシル

こちらは、粘着性媒体により回転子の回転方向に粘性抵抗が付与されています。以下がその効果のようです。

前記回転子の回転方向に粘性抵抗を付与した構成にされているので、前記回転子が回転方向にフリーとなる瞬間において、わずかな外力や振動等を受けて回転子が回転動作不良となるのを効果的に抑制させることができる。

 

 特許第4847946号(出願日:2007.12.28)シャープペンシル

 【請求項1】
軸筒内に配設されたチャックの前後動により筆記芯の解除と把持を行うことで、前記筆記芯を前方に繰り出すことができるように構成され、前記チャックが前記筆記芯を把持した状態で軸芯を中心にして回転可能となるように前記軸筒内に保持されると共に、前記筆記芯の筆記圧による前記チャックを介した回転子の後退および前進動作により当該回転子を回転駆動させる回転駆動機構が具備され、前記回転子の回転運動を前記チャックを介して前記筆記芯に伝達するように構成したシャープペンシルであって、
前記筆記芯の筆記圧を受けて、当該筆記芯と共に軸方向に移動動作する可動部材と、前記可動部材の移動面に対峙した固定部材との間に粘着性媒体が介在され、前記粘着性媒体により、前記筆記芯の後退および前進動作にダンパー機能を持たせたことを特徴とするシャープペンシル

 

前記筆記芯の後退および前進動作にダンパー機能を付与した構成が特徴的。効果としては、以下のように開示されています。

筆記芯の急激な軸方向への移動動作には大きな粘性抵抗が発生し、比較的緩慢に動く静的な荷重に対しては粘性抵抗は非常に小さくなる。これにより、ペン先と紙面との接触時の衝撃を筆圧、筆記速度に応じて効果的に緩和させることが可能となる。

 

さらに、本件は分割出願されていますね。こちらも請求項引用しておきます。

特許第5057536号(優先日:2007.12.28)シャープペンシル

【請求項1】
軸筒内に配設されたチャックの前後動により筆記芯の解除と把持を行うことで、前記筆記芯を前方に繰り出すことができるように構成され、前記チャックが前記筆記芯を把持した状態で軸芯を中心にして回転可能となるように前記軸筒内に保持されると共に、前記筆記芯が受ける筆記圧により回転子を回転駆動させる回転駆動機構が具備され、前記回転子の回転運動を前記筆記芯に伝達するように構成したシャープペンシルであって、
前記筆記芯の筆記圧を受けて、当該筆記芯と共に軸方向に移動動作する可動部材と、前記可動部材の移動面に対峙した固定部材との間に粘着性媒体が介在され、前記粘着性媒体により、前記可動部材と前記固定部材との間にダンパー機能を持たせたことを特徴とするシャープペンシル

特許第4847946号とほぼ同じですが、「筆記芯の筆記圧による前記チャックを介した回転子の後退および前進動作」の、チャックの部分が開示されていないようです。

 

次に、外国出願をワン・ポータル・ドシエで確認してみたところ、特許第4847946号は、EP, US, KR, CN, HK, TWに展開されていました。その他の案件は外国出願されていないようです。US特許について、請求項と図面を引用します。

 

US7850381(優先日:2007.12.28)Mechanical pencil 

CLAIMS(6)
1. A mechanical pencil arranged to grasp and release a writing lead by reciprocation of a chuck provided in a body cylinder so as to inch said writing lead forward, in which said chuck is held within said body cylinder so as to be rotatable about an axis in a situation where said chuck grasps said writing lead, a rotational drive mechanism is provided where a rotor is retreated and moved forward by writing pressure of said writing lead through said chuck so that said rotor is rotationally driven, and rotational motion of said rotor is transmitted to said writing lead through said chuck, characterized in that
a sticky medium is interposed between a movable member which moves together with said writing lead in an axial direction with application of the writing pressure of said writing lead and a stationary member facing a movable surface of said movable member so that said sticky medium provides retreat operation and forward movement of said writing lead with a damper function.

https://patentimages.storage.googleapis.com/US7850381B2/US07850381-20101214-D00000.png

https://patentimages.storage.googleapis.com/US7850381B2/US07850381-20101214-D00000.png

細かく確認していませんが、おそらく、特許第4847946号と類似するクレームで権利化されていると思われます。

 

日本に3件出願した後、EP, US, KR, CN, HK, TWに展開し、さらに、日本案件で分割出願も見つかりました。いかに、三菱鉛筆さんにとって「クルトガ」が大切かがわかったような気がします。

 

本日の調査はこの辺りで終わろうと思います。

 

 

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