文房具特許の世界

文房具が好きで、特許を手掛かりにその背景を妄想することによって文房具をもっともっと好きになるために、ブログはじめました。といっても、文房具特許についてはド素人で、皆さんと一緒に少しずつ学んでいければと思っています。文房具カフェ会員No.01845 連絡先:bunseka.akiran@マークgmail.com

Item 43: ラカット: 特許を探してみた

ではいつものようにJ-PlatPatで検索していきましょう。出願人=サンスター文具 で特許・実用新案を検索すると、ヒット数は116件。ざっとタイトルをレビューしたところ、「ラカット」に関連すると思われる出願を見つけましたよ。

 

実用新案登録第3201076号(出願日:2015.9.7)テープカッター

 

主張する権利範囲はこちら。

【請求項1】
芯部に捲装され全体リング状に形成された粘着テープ体を回転可能に保持する粘着テープ体保持部と、前記粘着テープ体保持部に連設されて、粘着テープ体から引き出された粘着テープを適宜の長さ寸法に切断しうる切断部と、前記粘着テープ体保持部の裏面部に設けられた磁石部とを備えたテープカッターであって、
前記粘着テープ体保持部は全体略横長直方体状に形成され、前記粘着テープ体の回転軸方向に外部に開放されて形成され、粘着テープ体を回転可能に収納しうる収納空隙部と、前記収納空隙部内に配置され前記粘着テープ体の前記芯部に着脱可能に挿通される軸部とを有する粘着テープ体保持部本体と、前記収納空隙部及び前記軸部先端部を前記粘着テープ体保持部本体の長さ方向に沿ってスライド可能に被覆しうるカバー部材とを備えていることを特徴とするテープカッター。

 

請求項1について少しだけ咀嚼します。

「前記粘着テープ体保持部の裏面部に設けられた磁石部」は、まさに、特徴のひとつとして挙げていた、「底面が強力マグネット」に対応します。強力マグネットにより冷蔵庫等に貼り付けることができることを示すプレスリリースの写真を引用しておきます。

 

http://prtimes.jp/i/14585/9/resize/d14585-9-170034-2.jpg

http://prtimes.jp/i/14585/9/resize/d14585-9-170034-2.jpg

 

請求項1の後半部分は、「カバーを上方向にスライドさせるだけでテープ交換可能な機構」の特徴に対応しています。請求項中のカバー部材が、上記のカバーに対応する訳です。カバーをスライドしてテープを交換する様子は、「ラカット」の楽天ページでわかりやすく紹介されていましたので引用しておきます。

 http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/onestep/cabinet/stat/stat05/b12502_3.jpg

http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/onestep/cabinet/stat/stat05/b12502_3.jpg

 

今回の調査で、サンスター文具の特許・実用新案116件を確認しましたが、昨今、特許出願をしていないようにみえましたので、出願件数推移についてグラフにしてみました。

 

f:id:bunseka_akiran:20161004234226p:plain

縦軸は、特許・実用新案の出願件数、横軸は、出願年です。グラフを見ていただくとわかりますように2010年以降、特許出願はされていないようですね。2010年に出願戦略の変更があったのかもしれませんね。

 

今回抽出した、実用新案登録第3201076号について、もうひとつ発見がありました。なんと、本実用新案の考案者は、サンスター文具株式会社 代表取締役社長CEO 小林大地氏。グラフを見ていただいてもわかりますように、2015年の出願は、この社長出願のみのようですね。発明者=小林 and 大地 で検索したところ11件ものヒットがありました。

 

余談ですが、2014年も出願は1件のみで、こちらも社長出願でした。

 

実用新案登録第3196188号(出願日:2014.12.12)筆記具

 

権利範囲はこちら。

【請求項1】
一端部にペン先部が設けられると共に他端部には装飾部が設けられた筆記具本体部と、前記ペン先部が挿入されてペン先部を保護するキャップ部とを備えた筆記具であって、前記装飾部は衣装を着せ替えしうるトルソーであることを特徴とする筆記具。

 

図面を見る限りは、こちらのプレスリリースで発表されている『シンデレラ ドレスアップトルソーペン3体セット』に関する出願と思われます。

p-bandai.jp

  

 

「ラカット」の調査を進めていくなかで、サンスター文具さんの出願戦略の変遷や、代表取締役 小林大地氏の幅広いクリエイティビティを垣間見ることができました。

 

今回は、このあたりで調査を終えようと思います。