文房具特許の世界

文房具が好きで、特許を手掛かりにその背景を妄想することによって文房具をもっともっと好きになるために、ブログはじめました。といっても、文房具特許についてはド素人で、皆さんと一緒に少しずつ学んでいければと思っています。文房具カフェ会員No.01845 連絡先:bunseka.akiran@マークgmail.com

Item 44: リミテッドAA: 特許を探してみた

いつもようにJ-PlatPatで検索していきます。出願人=オルファ株式会社 で特許・実用新案を検索したところ、ヒット件数は24件。発明の名称に”オートロック”というキーワードが入っているものをレビューしたところ、シルエットが類似していて、登録まで持ち込んでいるものを特定してみました。実施例のカッターナイフは六面体ではないので、「リミテッドAA」のオートロック方式とは関連しないかもしれませんが。

 

特公平8-15506(出願日:1993年5月24日)オートロック型ステップスライド式カッターナイフ

 

参考までに、公告されている請求項を引用しておきます。

【請求項1】 カッター刃(1)と、該カッター刃(1)が進退可能に挿入されるスライド溝(21)を有するカッター本体(2)と、該カッター刃(1)とともにスライド溝(21)に挿入されるスライダー(3)とを備え、上記カッター本体(2)が、上記スライド溝(21)の一側面から内方へ突出する係合壁(22a)を備えるとともに、該係合壁(22a)が、カッター刃進退方向に所定間隔で連続して形成された係合凹部(23)を備え、上記スライダー(3)が、上記カッター刃(1)と連結されるスライダー本体(5)と、該スライダー本体(5)にカッター刃進退方向へ可動に保持される操作部材(6)と、該スライダー本体(5)に保持される板ばね部材(7)とを備えたオートロック型ステップスライド式カッターナイフにおいて、上記板ばね部材(7)は、略半円状に湾曲しかつ上記係合凹部(23)に係合する係合部(71)と、該係合部(71)の両端からカッター刃進退方向沿いに張り出す肩部(72)と、該肩部(72)の両端から略ハの字状に広がる脚部(73)とを備え、上記操作部材(6)は、上記スライダー本体(5)に対する可動範囲の中立位置で上記板ばね部材(7)の両脚部(73)に内側からほぼ接する位置決め部(63a)と、該中立位置で上記肩部(72)の両方に反係合部側から接触する一方、該可動範囲の両端位置で該肩部(72)の一方から外れるロック部(63b)とを備えたことを特徴とするオートロック型ステップスライド式カッターナイフ。

 

さらに、意匠出願についても、同様に検索してみますと、ヒット件数は11件。リミテッドAAの六面体に類似したシルエットの出願を見つけましたよ。

 

意匠登録第1074616号(出願日:1999.3.29)カッターナイフ

 

「リミテッドAA」に関する調査はこのあたりにしておきましょう。

 

引き続き、「折る刃式カッターナイフ」の基本出願について、調査を進めていきます。

 

カッターナイフ、オルファ、基本出願等のキーワードでググってみると、工業所有権情報・研修館が発行している「知的創造活動と知的財産」というレポートがありました。

http://www.inpit.go.jp/content/100519712.pdf

誕生秘話が紹介されているのですが、「折る刃式カッターナイフ」の基本出願に関する情報はありませんね。

 

こちらの記事に、「折る刃式カッターナイフ」の基本出願の情報がありました。

www.nttcom.co.jp

 

昨日の記事では、基本出願は1956年出願かと予想していましたが、上記の記事の中で「折る刃」式の実用新案が1959(昭和34)年に出願されている、という記述がありました。

bunseka-akiran.hatenablog.com

 

「折る刃式カッターナイフ」の基本出願は、

・実用新案出願

・1959(昭和34)年出願

という貴重な情報ですね。

 

J-PlatPatでは、ここまで古い出願は検索できないと思っていたのですが、こちらの国際特許分類で検索するページでは、大正11年以降の公告実用新案公報が検索できることがわかりました。

公告実用新案公報(Y) 大11-000001 ~ 平08-011090

特許・実用新案分類検索(入力画面)|J-PlatPat

 

という訳で、オルファ株式会社のカッターナイフに関する出願から、国際特許分類をB26B1/08と推定。

B26 切断手工具;切断;切断機

B26B 他に分類されない手持ち切断工具

 1/08 ・滑動する刃をもつもの 

 

実用新案を、国際特許分類=B26B1/08 で検索したところ、ヒット件数は840件。

その中に1959年出願が2件あり、そのうちの1件が岡田良男氏の出願でした。

 

実公昭36-026712(出願日:1959年02月19日)紙切りナイフ

 

公告されている権利範囲を引用しておきます。文体が古くて理解に苦しみますが、平行折線について言及していますね。

 

f:id:bunseka_akiran:20161007001217p:plain

 

実施例中に、「折線10より把柄4に力を加えて折る かくして新しい刃先が現われ使用するのであるが、同様に繰近して幾度も新しい刃先を作り得るので普通のナイフのように研ぐ必要がない。」という効果が明示されていますね。

 

f:id:bunseka_akiran:20161007001508p:plain

 

実は、一度は諦めかけていたのですが、試行錯誤の末、なんとか、「折る刃式カッターナイフ」の基本出願と思われるものに辿りつくことができて、満足しています。(といっても、もちろん確証はないのですが・・(^^ゞ)

 

今回は、この辺で、調査を完了したいと思います。ふ~時間かかったな~。