Item 46: アイデアル(ウォーターマン)
午前中は大雨だったのですが、野暮用があり自由が丘へ。
自由が丘女神まつりが開催されていたので、雨の日にも関わらず、人が出ていました。私は、いつものようにぶらっとヴィレッジヴァンガード。文房具棚を物色していたら、この本に出会いました。
『最高に楽しい文房具の歴史雑学』というタイトル、そそられますよね笑。珍しく即買いしてしまいました(^^ゞ
著者はこちらのブログを運営されているJames Wardさん。
歴史ある文房具と言えば、万年筆、ということで、「第2章 人生について必要なことはすべてペンから学んだ」の中で紹介されている万年筆の歴史に関わる部分を引用していきますね。
万年筆が初めて商業的に成功を収めたのは1884年のことだ。ルイス・エドソン・ウォーターマンが開発した「アイデアル」という万年筆である。
「インクがペン先まで均一に流れるようにするための、確実自動的な構造」をもつウォーターマンのペンの特徴は、毛細管現象を利用してインクが下におりていくようにするためにペン先に刻まれた「細い溝もしくは割れ目」である。
1913年に、パーカー・ペン・カンパニーがボタンフィラー式のインク吸入方法を発表した。ペン先をインクに浸けた状態で胴軸の上部に取り付けられたボタン(ノブ)を押し下げると、内蔵チューブが圧迫され、インクを吸い込むというしくみだ。
万年筆素人の私でも知っているメーカーの名前が出て来ていますね。パーカーよりも、ウォーターマンの方が先行して商業的に成功を収めているようです。
という訳で、今回は、世界で初めて商業的に成功したと言われている、ウォーターマンが開発した「アイデアル」を追っていこうと思います。
早速、ウォーターマンの公式ホームページで万年筆の歴史を確認してみましょう。
あれ、公式ホームページでは、世界で初めて毛細管現象を応用した万年筆は「ザ・レギュラー」と呼んでいるようですね。
「ウォーターマン」の歴史は1883年、世界で初めて毛細管現象を応用した「ザ・レギュラー」を誕生させたことから始まる。この技術は今もなお、多くの万年筆に受け継がれている。
こちらの記事でもウォーターマンの万年筆の起源について詳しく説明されていました。
1883年ニューヨークまで遡る。創設者で当時保険外交員であったルイス・エドソン・ウォーターマンは大口契約を取り交わす席で、サインをするために用意したペンがインク漏れをおこし、契約書にインク染みを作ってしまうアクシデントに見まわれる。大急ぎで新しい契約書を顧客のもとに持っていったときにはライバル会社に契約をとられてしまっていた。この悔しい経験がウォーターマンの万年筆開発につながったのである。同年に誕生させた最初の万年筆は毛細管現象を利用した独自開発の「スリー フィッシャー フィード」システムを採用したもので、インクはニブ(ペン先)に絶え間なく供給され、書くたびにインクをつける手間が大幅に減った。この基本構造は100年以上経った現在でも変わっていない。この万年筆は「レギュラー(The Regular)」とよばれ、製造されたペンには5年間保障がつけられ、ウォーターマン直筆のサインが添えられていた。「レギュラー」は瞬く間にヒットし、この優れたインク供給システムの発明は1884年にアメリカで特許を取得。そして同年、後に「The L.E. Waterman Company」の前身となる「Ideal Pen Company」が設立され、ウォーターマンブランドが誕生したのだった。
実は、『最高に楽しい文房具の歴史雑学』の中で、ウォーターマンの悔しい経験が万年筆開発につながった、という逸話は、作り話である、と指摘しているのですが、それはさておき、こちらの記事でも、初の万年筆の名前は、「レギュラー(The Regular)」になっていますね。そして、1884年にアメリカで特許を取得、同年、「Ideal Pen Company」が設立されたとのこと。あ、ここで「アイデアル」という呼称が出てきますね。
「Pen Collectors of America」というサイトに、ウォーターマンの歴史を語る「Waterman, L. E. History by Robert Tefft」というレポートがpdfでアップされていました。
www.pencollectorsofamerica.com
この「Waterman, L. E. History by Robert Tefft」の中で、1883年に発売されたウォーターマンの万年筆が言及されていますので引用します。
こちらのレポートでは、"WATERMAN'S IDEAL PEN"と呼んでいるようです。「Regular」というワードは出てきませんね。
James Wardさんが参照していた、David Nishimuraさんのブログも紹介しておきます。こちらの記事では、ウォーターマンの初めての広告を紹介していますね。
Waterman's First Advertisement?
http://www.vintagepens.com/images/perm/1883_Waterman_ad.jpg
こちらにも「Regular」というワードは出てこないですね。
「アイデアル」か「レギュラー」か、世界初の万年筆の名前については情報が錯綜していますが、「1884年にアメリカで特許を取得」という情報を頼りに、調査を進めていきたいと思います。