文房具特許の世界

文房具が好きで、特許を手掛かりにその背景を妄想することによって文房具をもっともっと好きになるために、ブログはじめました。といっても、文房具特許についてはド素人で、皆さんと一緒に少しずつ学んでいければと思っています。文房具カフェ会員No.01845 連絡先:bunseka.akiran@マークgmail.com

Item 69: プレスマン: 特許を探してみた

まずは、2015年6月1日のリニューアル向けの出願がないか、J-PlatPatで調査していきます。出願人=プラチナ萬年筆 で特許・実用新案を検索してみると、ヒット件数は34件。ざっとレビューしてみましたが、リニューアルされた「プレスマン」に関する出願を特定することはできませんでした。

 

次に、1978年(昭和53年)発売の「プレスマン」向けの出願を調査していきます。昭和50年代の出願ということで、ULTRA Patentで調査していきます。さらに、権利化されたものに絞るため、特許・実用新案出願公告に対象を絞り、出願人=プラチナ萬年筆 で検索したところ、ヒット件数は、54件。

 

その中に、数多くシャープペンシルに関する案件がありましたが、セーフティースライド機構関連と思われる案件がありましたので、紹介しておきます。

 

実公昭57-021748(出願日:1978.8.8)シャープペンシル

 

請求項はこちら▼

f:id:bunseka_akiran:20170108195319p:plain

f:id:bunseka_akiran:20170108195403p:plain

 

効果はこちら▼ 「異常な筆圧が加わった場合でも、筆記芯は折損することなく・・」とありますので、セーフティースライド機構に関連する可能性があります。

 

f:id:bunseka_akiran:20170108195625p:plain

 

残念ながら、出願の公報、図面の固定リンクがなく、ご紹介することができませんので、ご興味ある方は、実公昭57-021748をULTRA Patent▼

www.ultra-patent.jp

で検索してみてください。

 

 今回は、このあたりで調査を終了します。

 

 

 

Item 69: プレスマン(プラチナ萬年筆)

最近、お世話になりっぱなしの『毎日、文房具。』さんのツイートで紹介されていた「プレスマン」を掘り下げていきます。

 

 

言わずとしれたシャープペンシルの定番である「プレスマン」ですが、こちらの2015年5月26日のプレスリリースにて、1978年発売以来、37年ぶりに機能向上して2015年6月1日にリニューアル発売されていたようですね。

プラチナ万年筆ニュースリリース

 

改善点は、以下の2点とのこと。

 

・先端セーフティースライド機構

クッション圧を高めにして意図しない芯スライドを防止。

・芯を出す時のノック音

ノック音を大幅に低減。さらにノック圧を軽くする事によりスピーディで軽快な芯出しを実現。

 

セーフティースライド機構については、「オ・レーヌ」の公式ホームページにわかりやすい説明がありましたので引用しておきます。

プラチナシャープペン

 

http://www.platinum-pen.co.jp/img/mechanism2_200.jpg

http://www.platinum-pen.co.jp/img/mechanism2_200.jpg

耐芯構造 2.セーフティースライド

強い力がかかった場合、内部のスプリングで芯をスライド。 クッションのように力を吸収し、芯を保護します。
筆記時に露出芯がなくなったら、先端を1 プッシュで芯が 現れるポイントプッシュ機能が使えます。

 

以上まとめますと、

・オリジナルの「プレスマン」は1978年発売

・2015年6月1日にリニューアル発売

・リニューアル版の特長は、先端セーフティースライド機構と芯を出す時のノック音の改善

 

等の情報を頼りに、調査を進めていきます。古い出願の調査なので難航しそうですが(^^ゞ

 

 

Item 68: ホッチポン: 特許を探してみた

リムーバーを表す特許用語がわからないので、J-PlatPatの意匠全検索アプローチで行こうと思います。

 

出願人=マックス株式会社 で意匠検索したところ、ヒット件数は441件。ざっと見ていったところ、「ホッチポン」に酷似するシルエットを見つけましたよ。

 

意匠登録第1129000号(出願日:2000.12.5)ステープルリムーバー

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/DE/JPS_1129000/B2A1F790F0E0365ED17D0708A4F0BD1E

 

やはり、創作者は、伊羅子知浩さんですね。

 

それでは、特許・実用新案も調査していきます。出願人=マックス株式会社、発明者=伊羅子知浩 で検索したところ、ヒット件数は19件。その中で、1件だけ、リムーバに関するものがありました。また、権利化もされているようです。

 

特許第4389077号(出願日:2000.12.13)リムーバ

 

権利化された請求項はこちら▼

【請求項1】
刃先プレートに形成された二股状部がリムーバ本体の一端に備えられた傾斜部の先端を挾持するように装着されたことを特徴とするリムーバ。

 ⇒リムーバの先端構造に関するもののようです。

https://wis.max-ltd.co.jp/op/product_image/RZ-10S_b1.jpg

 

https://wis.max-ltd.co.jp/op/product_image/RZ-10S_b1.jpg

 

【請求項2】
リムーバ本体は、その全長に渡って除去済のステープルを収容する空洞部を備えており、かつその後部側の空洞部内には、展開可能に枢支された蓋体の磁性材を収納する隔壁空間部が形成されたことを特徴とする請求項1記載のリムーバ。

⇒針を収納する収納部(空洞部)、蓋部(蓋体)に連動する磁石(磁性体)が限定されていますね。

 

【請求項3】
リムーバ本体の空洞部を上・下空洞部に仕切り、上側空洞部にはスライダと該スライダに作用する戻しスプリングと蓋体を展開可能にする枢支部とが備えられ、下側空洞部には除去済のステープルが収容されることを特徴とする請求項1または2記載のリムーバ。

⇒収納部(空洞部)に枢支された蓋部(蓋体)の構成が限定されています。蓋部(蓋体)はスプリングで付勢されているようですね。

 

特許と意匠の両方で保護されていることから、マックス株式会社さんにとって、「ホッチポン」が如何に重要な製品であるかが伺えますね。

 

今回の調査は、このあたりで終了します。

 

 

Item 68: ホッチポン(マックス)

『毎日、文房具。』さんの過去記事で紹介されている「ホッチポン」を掘り下げていきたいと思います。 

 

 

ウェブ上でプレスリリースを特定できませんでしたが、2001年度にグッドデザイン賞を受賞されていて、こちら▼の記事の中の開始日:2001年2月26日が公表日か発売日と予想されます。

www.g-mark.org

 

マックス株式会社の公式ホームページはこちら▼

No.10針用 除針枚数10枚 除針・針の収納・ワンタッチ廃棄の1台3役! ホッチポン RZ-10S - 文具・オフィス機器 - 製品情報 - マックス株式会社

 

公式ホームページの画像を引用して、発明のポイントになりそうな特長を説明しておきます。

https://wis.max-ltd.co.jp/op/product_image/rz-10s_1.jpg

https://wis.max-ltd.co.jp/op/product_image/rz-10s_1.jpg

 

1: 除針して、そのまま収納

除針すると、その針が、収納部にそのまま収納されるような構成になっています。上述の『毎日、文房具。』さんのページで説明されていますが、収納部の後端部に設けられている開閉可能な蓋部と連動する磁石が、蓋部が閉じているときには収納部の背部に近接するように構成されているため、その磁石付近に針が固まるように収納されます。

 

2: ワンタッチ廃棄

磁石付近に固まるように収納部に収納されている針を廃棄するため、蓋部を開放方向に移動すると、それに連動して磁石が収納部の背部から離間するために、磁力によって固まっていた針が解放され、蓋部の開放により形成された開口部から廃棄されます。

 

・2001年2月26日に公表

グッドデザイン賞の受賞対象の概要より、デザイナーは、マックス株式会社 開発本部 開発グループ デザイン課 伊羅子知浩氏

・除針して、そのまま収納

・ワンタッチ廃棄

 

等の情報をもとに、調査を進めていきたいと思います。乞うご期待。