Item 6: サラサクリップ: 特許を探してみた
・2003年、サラサクリップ発売
・大きく開く、クリップ
・シンプルなノック式機構
あたりを特許探しをはじめようと思います。
がその前に、開発秘話がアップされていないか確認。ググってみたら、クリップの開発秘話を見つけました。
ZEBRA :: ゼブラのこだわり :: バインダークリップ開発秘話 1
正式名称は「バインダークリップ」
クリップが折れてしまうという課題を解決するため、丈夫なクリップを作るのではなく最初から開いたり閉じたりできる洗濯バサミのような機構を、という商品デザイナー中山さんのアイデアが発端だったようです。1999年12月に発売されたクリップ-オンに採用され、サラサにも採用されたようです。
こちらの情報も加えますと、
・「クリップ機構」は、1999年12月より前の出願、発明者は中山さん
・シンプルな「ノック式機構」については、時期的な手掛かりなし。少なくとも2003年のサラサクリップ発売前
では、J-PlatPatで特許調査していくことにしましょう。
公開特許公報を検索対象に、出願人=ゼブラ で検索すると、488件。
まずは、「クリップ機構」について調査していきましょう。
発明者が中山さんということで、発明者=中山 で検索してみたところ、なんと0件。これは予想外の展開。
では、公報全文=クリップで絞り検索しましょう。結果は162件。まだ多いな。
1999年12月発売なのでその直前の出願を見ていったところ、関連すると思われる案件を見つけました。権利化もされているようです。
特許第3175933号(出願日:1999.11.18)
権利化されている権利範囲はこちら↓。ポイントは、赤で示したU字状挟みバネで、クリップを開くと、下記の写真におけるバネの上側が上方に移動され、バネの下方への復元力によりクリップが閉じる方向に付勢されるような感じですかね。
【請求項1】 軸筒やキャップ等の筒体の表面側に略U字状挟みバネの一端側を、前記筒体頂部側に形成された挿入孔に挿込み状に固定し、該挟みバネの他端側を筒体の表面に沿わしめ、クリップにおける筒体との対向面と、筒体におけるクリップとの対向面とで形成される枢支部にクリップを枢支し、かつ前記挟みバネの他端部を前記枢支部よりもクリップの前端側に掛止させ、クリップの前端部が筒体表面に弾圧接するようにクリップを筒体に取付けた筆記具のクリップ取付装置。
ちなみに発明者は中田さんでしたね。
では、シンプルな「ノック式機構」について調べていきましょう。
あまり手掛かりはないですが、ノック式と、2003年サラサクリップ発売前くらいですかね。早速、公報全文=ノック式で検索すると、74件。2003年前半からざっとみていくと、いきなりありました。今日は調子がいい。こちらもしっかり権利化されています。
特許第4153314号(出願日:2003.1.7)権利範囲はこちら。
【請求項1】
操作部の操作によってリフィール装着部を軸方向へ進退させる進退機構が備えられたリフィール進退ユニットであって、
前記進退機構は、前記リフィール装着部を有する回転子と、該回転子を後方へ付勢する付勢部材と、該回転子を軸方向へスライド可能に内在するとともに出没式筆記具の軸筒の後端部に装着可能な中駒と、前記付勢部材をその前方側で受ける受け部材とを備え、前記操作部がノック操作されることにより前記付勢部材による付勢に抗して前記回転子を前進させて前記中駒に係止させた係止状態にし、前記操作部が再度ノック操作されることにより前記係止状態を解除して上記リフィール装着部を後退させるように、単独で作動可能な一体構造に構成され、
前記受け部材は、前記中駒に対して軸方向へスライド可能に係合するとともに、前記中駒の前方へ突出していることを特徴とするリフィール進退ユニット。
何だか言葉が難しいですね。上記の図を使って説明しますと、中駒という透明なボールペンのボディに階段上に溝が形成されていて、左側の図は、白い回転子の一部が赤点線丸のところで中駒の溝に係止されている状態。すなわち、この状態はペン先が出ている状態。回転子は常に中駒の方向にバネで押し付けられていて、中駒の方向から回転子を押すようにユーザがノックすると、中駒の階段状の溝に沿って先ほど係止されていた回転しが赤矢印方向に回転して、右のように係止される場所が上方に移動します(赤点線丸部分)。右側の図は、ペン先引っ込んだ状態です。(全然噛み砕けていないか(^^ゞ)
この機構の構造そのものが権利範囲ではありませんが、本出願明細書の実施例は、サラサラの構造に類似しているものと思われます。
以上、まとめますと、
現状のサラサクリップは、1999/11/18に出願されているバインダークリップ機構と、12003/01/07に出願されているノック式機構がベースとなっている、と言えるかもしれません。
※それにしても、メカの特許用語は慣れないと理解不能ですね(^^ゞ