文房具特許の世界

文房具が好きで、特許を手掛かりにその背景を妄想することによって文房具をもっともっと好きになるために、ブログはじめました。といっても、文房具特許についてはド素人で、皆さんと一緒に少しずつ学んでいければと思っています。文房具カフェ会員No.01845 連絡先:bunseka.akiran@マークgmail.com

Item 10: テフレーヌ: 特許を探してみた

では、いつものようにJ-PlatPatで検索していくことにしましょう。ただ、初代テフレーヌのプレスリリースが2015年1月8日とすると、その直前に出願したとすると、まだ公開されていないかもしれません。予定通り、上下にセパレートしたリング、簡単にとじ具が開く機構あたりを手掛かりに調査していくつもりですが、まずは、出願人=キングジム、公報全文=リング で検索してみました。結果は141件。思った以上に出願ありますね。上から見ていったところ、1件目にテフレーヌ関連がありました。おそらくバインダータイプのものだと思いますが、上下にセパレートしたリング、簡単にとじ具が開く機構は開示されているようです。

特開2016-97502(出願日:2014.11.18)

出願時に主張する権利範囲はこちら↓

【請求項1】
挿通孔を有する被綴込物を取り外し自在に綴じ込む綴じ具であって、
固定基部と、
この固定基部に対して回動可能に設けられた回動基部と、
前記固定基部に設けられ、前記被綴込物の前記挿通孔に挿入可能な第1の綴じ部材と、
前記回動基部に設けられ、前記被綴込物の前記挿通孔に挿入可能な第2の綴じ部材と、
前記固定基部において前記第1の綴じ部材に並設して設けられ前記被綴込物の前記挿通孔に挿入可能な第3の綴じ部材と、
前記回動基部において前記第2の綴じ部材に並設して設けられ前記被綴込物の前記挿通孔に挿入可能な第4の綴じ部材とを具備し、
前記第1の綴じ部材は、第1の係合部を有し、
前記第2の綴じ部材は、前記第1の係合部に係合可能な第2の係合部を有し、
前記回動基部は、前記第1の綴じ部材の前記第1の係合部と前記第2の綴じ部材の第2の係合部とが接離するように回動し、
前記第1の綴じ部材と前記第2の綴じ部材とは、前記第1の係合部と前記第2の係合部とが係合してリング状の第1のリングを構成し、
前記第3の綴じ部材と前記第4の綴じ部材とは、先端部同士が接触してリング状の第2のリングを構成し、
前記第2のリングの長さは、前記第1のリングの長さより長い
ことを特徴とする綴じ具。

 

ちょっとわかりくいと思いますので、構成要件を図にしてみました。

f:id:bunseka_akiran:20160729014553p:plain

ポイントは、第2のリングの長さが、第1のリングの長さより長いところ。ほとんど見た目ではわからないのですが、少しだけ第2のリングの方が長いんだと思います。これによって、第1の係合部と第2の係合部が係合した状態で外方に引っ張られることになるので、係合が外れることなく、安定して綴じ込むことができるのがポイントなのだと思います。

図面上はテフレーヌに類似のものだと思うのですが、上下にセパレートしたリング、簡単にとじ具が開く機構、という効果を謳うのではなく、安定して綴じ込むことができる点を主張しているとは、驚きです。テフレーヌの売りである2つのポイントに関する出願は別途あってまだ公開されていないだけかもしれないのですが、その効果とは別に、安定して綴じ込むためのこんな工夫があったとは♪ 何だか得した気分になる調査結果でした。