文房具特許の世界

文房具が好きで、特許を手掛かりにその背景を妄想することによって文房具をもっともっと好きになるために、ブログはじめました。といっても、文房具特許についてはド素人で、皆さんと一緒に少しずつ学んでいければと思っています。文房具カフェ会員No.01845 連絡先:bunseka.akiran@マークgmail.com

Item 34: オレンズ: 特許を探してみた

それでは早速、J-PlatPatで、出願人=ぺんてる、発明者=(丸山 and 茂樹) or (古市 and 明典)で、特許・実用新案を検索したところ、「オレンズ」のシルエットらしき案件が3件見つかりました。3件の公開番号と、請求項1を順に紹介しておきます。ここで発明の詳細な説明は割愛しますが、それぞれの効果のポイントを列挙しておきました。

(特許検索ツールのリンクをサイドバーに常設しましたので、グーグル検索感覚で、特許検索を体験してみください。)

 

特開2015-24569(出願日:2013.7.26)軸筒の連結構造

【請求項1】
少なくとも一方の軸筒と他方の軸筒と中軸とから構成し、前記一方の軸筒と中軸とを螺着可能に形成すると共に、それら一方の軸筒と中軸とにより他方の軸筒を挟持してなる軸筒の連結構造であって、前記一方の軸筒と他方の軸筒とが径方向で圧接してなることを特徴とする軸筒の連結構造。

【発明の効果】

一方の軸筒の緩みを防止することが出来る

 

特開2016-30347(出願日:2014.7.28)シャープペンシル

【請求項1】
後方からの押圧によってチャック体を前後動かつ開閉動させて先部材先端孔より芯を繰り出すシャープペンシルにおいて、前記チャック体の前進開放時に、その拡開量を規制する内径部を先部材内に設けると共に、前記チャック体に芯供給パイプを内包し、チャック体前端面から芯供給パイプの前端面の距離を、後方からの押圧によって前後動するチャック体前端面の最大移動距離よりも長くしたシャープペンシル

【発明の効果】

突出した筆記中の芯の収納動作を行う際に、直列状態にあった筆記中の芯後端と後続芯前端の接触面の軸芯がズレて、両芯が並列状態になることがなく、芯供給パイプの芯詰まりを防止し、良好な芯出作動が得られる

 

特開2016-140986(出願日:2015.1.30)シャープペンシル

【請求項1】
軸筒の内部に、芯の繰り出しを行う芯繰り出し機構と、芯の保持を行う芯保持部を有する芯保持部材とが配設されたシャープペンシルであって、前記芯保持部材を前記軸筒または前記軸筒に対して前後動可能に配設された摺動部材に圧入固定し、その芯保持部材の圧入部と前記芯保持部との軸線方向の位置を離隔せしめたことを特徴とするシャープペンシル

【発明の効果】

芯保持部材を固定する部材の内径のバラつきに芯保持部材の芯保持部が影響されず、芯保持部材の安定した芯保持荷重が得られ、良好な芯出作動が得られる

 

効果のポイントを示す赤字の部分を見ていただくとわかりますが、「オレンズ」の最大の特徴である、芯折れ防止に関する出願がありませんね。やはり、「スライド02」の発売前にその辺りをポイントとした出願があるのでしょうか・・・。

 

1973年以前の出願を探す前に、意匠出願を検索しておきます。出願人=ぺんてる、創作者=(清水 and 和久) or (柴田 and 智明)  で検索したところ、「オレンズ」らしき案件が2件見つかりましたよ。こちらです。

 

意匠登録第1497805号(出願日:2013.4.11)シャープペンシル

意匠登録第1498314号(出願日:2013.4.11)シャープペンシル

 

では、最後に、出願日が1973年以前のぺんてるの出願を検索していきます。ULTRA Patentを使って検索したところ、シャープペンシルに関する実用新案が1件だけ見つかりました。

 

実開昭48-095729(出願日:1972.01.27)押し出し式シャープペンシル

 

請求の範囲はこちらです。テキストがないので画像にて引用します。

f:id:bunseka_akiran:20160914231241p:plain

本出願の課題は芯折れを防止することなのですが、図面等を見る限り、スライドパイプがニョキっと出てくるような構成ではなく、「オレンズ」の原型となっている「スライド02」に関する案件ではなさそうです・・。残念。

 

こちらのぺんてるさんの製品開発ストーリーには、1960年に世界初ノック式シャープペンシルぺんてるシャープ」が発売された、と記されています。

www.pentel.co.jp

 

一方、ULTRA Patentのデータ提供範囲は、発行日が、

公開特許:1971.07.16~

公告特許:1964.09.21~

公開実用新案:1971.09.13~

公告実用新案:1964.08.24~

となっていますので、ちょうど「スライド02」に関する案件の発行日が、データ提供範囲外であるために、出願が特定できないのかもしれません。(単に私の検索能力の問題かもしれませんが(^^ゞ)

 

長々と調査してきましたが、結局、「オレンズ」の最大の特徴である芯折れ防止のためのスライドパイプに関する出願を特定することができませんでした。申し訳ございません。

 

本日は、この辺りで調査を終えたいと思います。