文房具特許の世界

文房具が好きで、特許を手掛かりにその背景を妄想することによって文房具をもっともっと好きになるために、ブログはじめました。といっても、文房具特許についてはド素人で、皆さんと一緒に少しずつ学んでいければと思っています。文房具カフェ会員No.01845 連絡先:bunseka.akiran@マークgmail.com

Item 40: ベルトシール スナップ: 特許を探してみた

まずは、ベルトシール スナップにマーキングされている実用新案登録第3161147号をJ-PlatPatで検索してみました。

 

 

実用新案登録第3161147号(出願日:2010.5.10)連結具

 

出願人は、デザインフィルさんではなく、文具等の受託製造を行っている、有限会社五英、白金化成株式会社の共同出願ですね。

 

プレスリリース発行日が2013年7月4日ですから、その3年も前に既に出願されていたとは驚きですね。

 

主張している権利範囲はこちらです。

 

【請求項1】
互いに嵌合/離脱可能な一対の留め具部材から構成される留め具を有し、製品の開放部の開放を制限することが可能な連結具であって、
一方の面が接着面となった貼付シートと、貼付シートの他方の面に基端部が取り付けられた可撓性の第1基材と、第1基材に取り付けられた一方の留め具部材と、から成る可動連結具と、
一方の面が接着面となった貼付シートと、貼付シートの他方の面に取り付けられた第2基材と、第2基材上に取り付けられた他方の留め具部材と、から成る固定連結具と、
を備え、
可動連結具において、貼付シートの第1基材との取付部位は、貼付シートの接着面の内側にあって、その取付部位の面積は、接着面の面積よりも小さくなるように構成され、
固定連結具において、貼付シートの第2基材との取付部位は、貼付シートの接着面の内側にあって、その取付部位の面積は、接着面の面積よりも小さくなるように構成され、
一方の留め具部材と他方の留め具部材とが嵌合/離脱可能となるように、可動連結具及び固定連結具がそれぞれ貼付シートにより製品に接着可能となったことを特徴とする連結具。 

  

少しわかりにくいので、写真を使って説明していきますね。

 

この部品が可動連結具に対応します。

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そして、こちらが固定連結具です。

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そうすると、請求項1の一番最後の部分は、すんなり頭に入ってくるのではないでしょうか。

 

一方の留め具部材と他方の留め具部材とが嵌合/離脱可能となるように、可動連結具及び固定連結具がそれぞれ貼付シートにより製品に接着可能となったことを特徴とする連結具。

 

少しわかりにくいのは、その前の部分のこちらです。

 

可動連結具において、貼付シートの第1基材との取付部位は、貼付シートの接着面の内側にあって、その取付部位の面積は、接着面の面積よりも小さくなるように構成され、
固定連結具において、貼付シートの第2基材との取付部位は、貼付シートの接着面の内側にあって、その取付部位の面積は、接着面の面積よりも小さくなるように構成され、

 

順に説明していきます。

 

可動連結具において、貼付シートの第1基材との取付部位は、貼付シートの接着面の内側にあって、その取付部位の面積は、接着面の面積よりも小さくなるように構成され、

 

貼付シートの第1基材との取付部位にあたる部分が、こちらの写真の中央の茶色の円の部分です。そして、その茶色の円を囲むように透明な円が見えると思いますが、この透明な円が、貼付シートが製品に接着される接着面になります。貼付シートが第1基材(ベルト)に取り付けれられる面積が、製品に貼り付けられる接着面よりも小さい点がポイントです。

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固定連結具において、貼付シートの第2基材との取付部位は、貼付シートの接着面の内側にあって、その取付部位の面積は、接着面の面積よりも小さくなるように構成され、

 

固定連結具も同様です。貼付シートの第2基材との取付部位にあたる部分が、こちらの写真の中央の茶色の円の部分です。そして、その茶色の円を囲むように透明な円が同様に見えると思います。この透明な円が、貼付シートが製品に接着される接着面になります。貼付シートが第2基材に取り付けれられる面積が、製品に貼り付けられる接着面よりも小さい点がポイントです。

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このように、製品に貼り付けられる接着面をより大きくすることにどのような意味があるのでしょうか。

 

それについては、本出願の効果に記載がありましたので引用しておきます。

 

貼付シートと第1基材または第2基材との取付部位は、接着面の内側になって、その取付面積が接着面積よりも小さくなるため、留め具を嵌合したり離脱したりする際に、第1基材及び第2基材に引張力が作用しても、その力は大きな接着面積の貼付シートを介して製品に伝わることになり、製品には分散されて伝達されて、製品への影響を小さくすることができる。また、その引張力が、貼付シートを剥がすきっかけとなりにくいので、貼付シートが剥がれにくい構成とすることができる。

 

すなわち、ベルトシール スナップのように、ボタンを付けたり外したりすることを繰り返していると、その引張力で、ベルトシールスナップが貼りつけられた製品の方を傷めてしまうのでは、ということを課題としています。

 

それを克服するため、その引張力が、貼付シートのより大きな接着面から伝わるように構成することによって、製品には分散されて伝達され、製品への影響を小さくすることを実現しました。

 

これによって、その引張力が、貼付シートを剥がすきっかけとはなりにくいので、結果的に、貼付シートが剥がれにくい構成になっています。

 

ベルトシール スナップが貼りつけられた製品の方を心配するとは。そんな、やさしい気持ちで開発されたベルトシール スナップ。ぜひ一度、ご利用ください。

 

本日はこの辺で。