文房具特許の世界

文房具が好きで、特許を手掛かりにその背景を妄想することによって文房具をもっともっと好きになるために、ブログはじめました。といっても、文房具特許についてはド素人で、皆さんと一緒に少しずつ学んでいければと思っています。文房具カフェ会員No.01845 連絡先:bunseka.akiran@マークgmail.com

Item 17: プレピー: 特許を探してみた

それでは、土橋さん、福島さんが注目する、カートリッジ式、インナーキャップ付きキャップ、超耐摩耗合金ペンポイント、スリップシール機構という観点で、いつものようにJ-PlatPatで特許・実案を検索していきます。ひとまず、出願人=プラチナ萬年筆 で検索してみたところ、ヒット件数は34件。この件数なら全件ざっと確認できそうだったので、古いものから順に見ていきました。カートリッジ式に関連すると思われる出願を見つけました。

 

実登2513818(出願日:1992年11月4日)筆記具のインクスペアー用アダプター

 

登録になっている権利範囲はこちら。

 

【請求項1】 筆記具先端部に突設した突剌管を着脱可能に嵌合する連結筒を、アダプター中央の隔壁を挟んだ先端側に設けると共に、該連結筒内に誘導突起を膨出し、一方隔壁の後端側に異種のインクスペアーを着脱可能に密嵌する短筒状の把持嵌合筒を形成すると共に、該把持嵌合筒内の空間部にインクスペアー挿着用の突剌杆を突設し、該突刺杆と上記誘導突起とを貫通するようにインクと空気を誘導する溝孔を穿設したことを特徴とする筆記具のインクスペアー用アダプター。

 

ここでいうインクスペア―=インクカートリッジ、アダプタは、ペン先とインクカートリッジの間に配される部品のことのようですね。プラチナ萬年筆のインクカートリッジの特徴であるボールについては権利範囲には記述されていないのですが、明細書の中で、「インクスペアー14をアダプター1の把持嵌合筒5に嵌合すると、インクスペアー14は把持嵌合筒5に誘導されて緊密に押し込まれる。この押し込み操作によって、把持嵌合筒5内の空間部6の密閉された空気は圧縮されて高くなる。この状態で該把持嵌合筒5内の突刺杆7が封塞口部15のボール16を押圧してインクスペアー14内に落し込むと、インクスペアー14内のインクは、空間部6の空気圧が高いので封塞口部15と突刺杆7との接続部よりの毛細管作用によるインク漏れを生じても外部に漏洩することなく」と説明されていますね。あ、今度はインナーキャップ関連のようです。

 

実登3029408(出願日:1996年3月26日)筆記具用キャップ

 

登録になっている権利範囲はこちらです。

 

【請求項1】 開放端部において軸筒に密嵌する内蓋をキャップ内に嵌着し、上記内蓋内に中鞘を収容するとともに、この中鞘は撥条により弾撥的に支持される緻密材よりなり、上記中鞘内に、ペン先部に当接する弾性シール部材を収容し、中鞘の側壁外周の鍔部に上端が当接する筒状体を、中鞘が最上方に移動した場合にも、中鞘の下端部が筒状体内にあるように内蓋内に嵌着してなる筆記具用キャップ。

 

ちょっと図がないとこの権利範囲を説明するのは難しいのですが、簡単な構造により、ペン先部の密嵌性を保持するとともに、中鞘内へのインキの吹き出しを防止することを可能にしたもののようです。課題を解決するための手段として、「中鞘を支持する撥条の弾撥力が、中鞘内に収容されるシール部材の弾性よりも大であるようにするものである」という記述もあるので、バネが取り付けられているプレピーのインナーキャップにもこの技術が応用されているのではないかと思います。(ちなみに、鞘は"さや"と読むようです。刀の"さや"と同様の構造なんですね。勉強になります(^^ゞ)最後に、プラチナ萬年筆さんが特許番号を公開していたスリップシール機構関連の出願を紹介します。

 

特許5637515(出願日:2011年3月24日)筆記具用キャップ

 

登録されている権利範囲はこちら。

 

【請求項1】一端を封止して有底形状とする外キャップ、一端を封止して有底形状とする内キャップ、及び弾性体とから構成し、

内キャップを外キャップ内に底部を同方向として内挿した上、外キャップの先後方向に移動自在且つ、外キャップの内周面方向に沿って回転自在となるように保持してなるとともに、
弾性体は外キャップ底部内の、外キャップ底部内周と内キャップ底部外周間において、少なくともいずれか一方のキャップに対して回転自在であって、内キャップを外キャップの後端方向へ押勢するよう挟持されてなるものであって、
略中央に薄板状の弾性体保持鍔部を有する棒状の弾性体保持体を介して、外キャップの底部と内キャップ底部とを連絡するとともに、
該弾性体保持体に対して、外キャップと内キャップの少なくともいずれかを外キャップの先後方向に移動自在とし、
弾性体は、前記弾性体保持体に対して外キャップの先後方向に移動自在となるものが外キャップの場合には、該外キャップ底部内周面と弾性体保持鍔部間に、また、それが内キャップの場合には、該内キャップ底部外周面と弾性体保持鍔部間に、それぞれ弾性体保持体に沿って設けられる、
ことを特徴とする筆記具用キャップ。

 

う~ん。少し長めで、特徴を完全に理解するのは難しそうですね。効果のところにそのヒントがありました。「内キャップ内での筆記軸先端の過度な前進を阻止して、筆記具用キャップの引き抜き時に内キャップ内で発生する負圧によって筆先部からのインクの漏出をも防止できるので、長期間にわたって確実に筆記具として使用することができる」とのこと。

 

なるほど。キャップ内に先端が過度に前進し過ぎていると、引き抜き時に負圧によってインクが漏れるんですね。明細書の内容を基に咀嚼しますと、外キャップの内側の一番奥のところに棒状の弾性体保持体が軸線上に突出していて、それに、内キャップの先端側に形成された孔が引っ掛かるようにして内キャップが外キャップに保持されています。内キャップと外キャップの間に弾性体が設けられているので、内キャップは、外キャップに対して軸線上に弾性的に移動可能です。そして、ペン先が内キャップに挿入されるとペン先の側面が内キャップの側壁に係合し内キャップの先端側の内壁とペン先との間に形成される一定の空隙が確保されたままペン先と内キャップが一体となって外キャップに対して移動し、内キャップの先端上面が外キャップの内側の上面に当接したところでちょうどキャップによりペンが収納されるように構成されています。

 

すなわち、一定の空隙が確保されたまま、空隙にある空気が過度に圧縮されることなく、ペン先が収納されるように構成されています。このような構成となっているので、内キャップ内での筆記軸先端の過度な前進を阻止して、筆記具用キャップの引き抜き時に内キャップ内で発生する負圧によって筆先部からのインクの漏出を防止できるのだと思います。咀嚼しようと思いましたが、まだまだわかりにくい表現が多いですね・・。申し訳ございません。。

 

残念ながらペンポイントについては関連する出願を特定することができませんでした。それにしても、高度な技術の集大成のようなプレピーにも関わらず価格が200円とは、本当に信じられない代物です。プラチナ萬年筆さんの企業努力に敬意を表しつつ、今回の調査を終わりたいと思います。

 

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