Item 50: モレスキン: 特許を探してみた
Moleskine SpAはイタリアがhome officeのようですので、J-PlatPatでなく、Espacenetで検索していくことにします。出願人="Modo & Modo"で検索したところ、ヒット件数は0件。出願人="Moleskine"で検索したところ、ヒット件数は11ファミリー。優先日順に並べてみたのがこちら▼です。
CA142951(優先日:2011-01-31)TRAVELLING CASE
USD699945(優先日:2011-01-31)Case
USD669935(優先日:2011-02-08)Writing instrument
USD675248(優先日:2011-02-08)Eye glass frame
CA141684(優先日:2011-02-08)GLASSES FRAME
ITMI20110214(優先日:2011-02-14)MONTATURA PER OCCHIALI (眼鏡フレーム)
WO2012110164(優先日:2011-02-14)CLIP
CA141713(優先日:2011-08-03)WRITING INSTRUMENT WITH CAP AND CLIP
WO2013084082(優先日:2011-12-09)NOTEBOOK FOLDABLE AS ENVELOPE FOR MAILING
US9235772(優先日:2012-08-24)NOTEBOOK AND METHOD FOR DIGITIZING NOTES
USD724092(優先日:2013-07-12)Protective cover for a tablet computer
筆記具、眼鏡、カバー、クリップなど多岐にわたり、肝心の「モレスキン」ノートに関するものは1ファミリーのみのようですね(赤字)。
代表図面を引用しておきます。
https://patentimages.storage.googleapis.com/US9235772B2/US09235772-20160112-D00000.TIF/1.png
US9235772として権利化されている権利範囲はこちら。
1. Notebook comprising a plurality of pages of paper bound together with a cover, in which a plurality of substantially vertical and/or substantially horizontal lines are printed on the pages, wherein said substantially vertical and/or substantially horizontal lines are formed by a plurality of dots aligned with each other, which have a maximum dimension, in particular diameter, comprised between 0.21 and 0.35 mm, the distance between two adjacent dots of a same line being comprised between 0.43 and 0.7 mm and the color of the dots being darker than the color of the page, in which the sum of the four quadrichrome CMYK values of the color of the page is comprised between 0 and 20 with the K value less than 10, and the sum of the four CMYK values of the color of the dots is comprised between 15 and 50 with the value K less of 40.
・赤字部分:水平ラインと垂直ラインを形成しているドットの最大寸法が0.21~0.35mmに間
・青字部分:ドット間の距離は、0.43~0.7mmの間
・緑字部分:ドット色はページ色より暗い。ページ色はCMYKカラーモデルの合計値が0~20で、K値は10より小さい、ドット色はCMYKカラーモデルの合計値が15~50で、K値は40より小さい。
ラインのドットの寸法から、ドットやページの色まで規定しているとは、この拘りハンパないですね笑
対応の日本特許もあるようです。
特表2015-533674(優先日:2012.8.24)ノート及びメモをデジタル化するための方法
日本の意匠出願を検索したところ、ノートに関するものが登録されていました。
意匠登録第1557779号(優先日:2015.4.29)ノートブック
残念ながら、図面の固定リンクがありませんので、意匠の説明、意匠に係る物品の説明を引用しておきます。図面は、現在の「モレスキン」ノートの外観そのものです。
【意匠に係る物品の説明】本物品は、ノートカバー部、ノート部、バンド部からなるノートブックである。バンド部は伸縮自在でノートブックを開く際に底面側に移動させることができる。
【意匠の説明】各図に表された略細線は立体表面の形状を表す線である。「参考斜視図」に示すバンド部は伸縮自在であり、「バンド部を外しノートブックを開いた状態を表す斜視図」に示すよう、ノートブックを開く際にバンド部は底面側に移動させることができる。
最後に、商標も重要視しているとのことでしたので、J-PlatPatで商標検索もしておきます。出願人=モレスキンで検索しところヒットせず、商標(検索用)=モレスキンで検索したところ、ヒット件数は1件。出願人が"モレスキン・ソシエタ・ペル・アチオニ"であることがわかりましたので、出願人=モレスキン・ソシエタ・ペル・アチオニで再検索したところヒット件数はこちらの2件でした。
商標第4564668号(出願日:2001年2月27日)
商標(検索用) MOLESKINE
商標第4564669号(出願日:2001年2月27日)
商標(検索用) モレスキン
標準文字商標 code=8382code=838Ccode=8358code=834Ccode=8393
称呼(参考情報) モレスキン
あれ、商標出願は、2001年と、超早いですね・・。SGキャピタル・ヨーロッパ社がモレスキン・ブランドを大々的に展開するためModo & Modoを買収したのが2006年ですから、まだModo & Modoがモレスキンブランドを管理していた時期ではないでしょうか。
ということで、商標出願の経過情報を確認してみると、、、
出願時の出願人は、あの、Modo & Modoでした▼。歴史を感じますね。
出願人 モド・エ・モド・ソシエタ・ペル・アチオニ<MODO & MODO S.P.A.>
2001年にModo & Modoが出願した「モレスキン」ブランドを、Moleskine SpAが引き継いで、今なお、「モレスキン」の一般名称化を防ぎ、さらに、2012年には、ノートのドットの形状や色まで規定した特許出願をすることによって、粗悪な模倣品から「モレスキン」ビジネスを守るという、Moleskine SpAの秀逸な知財戦略が見えてきたところで、本日の調査は完了することにいたします。